中山七里「TAS 特別師弟捜査員」

中山先生の学園物推理小説「TAS 特別師弟捜査員」読了。中山作品の学園物では「どこかでベートーヴェン」という作品がありましたが、本作も似たようなシチュエーションと言えば言えるでしょうか。

とある高校の演劇部所属の才女高校生が美術室の窓から落ちで死亡する事故?事件?が発生。その才女は容姿・頭脳・人柄とも申し分のない高校生で、演技記部の部長として主役を張る方。死体から大麻が出てきたことから自殺か事故とされたが、本作の主役たる高梨慎也と従兄の公彦刑事がタッグを組み犯人を追う。そんな最中、死んだ才女にあこがれていた後輩部員も死亡する事件が発生したことから、演劇部員関係者の誰かが犯人ではないかとされ、師弟が捜査員となって事件解決に至るという話ですが、中山作品の常とう句のごとく、殺人事件とは他に今回は音楽ではなく、演劇を仕上げていくというストーリーが経糸となり、そちらのいわば青春小説的な色合いも強い話で、それがなかなか推理小説としての筋と絡まって、興味をそそられ、読みだすと次のページが読みたくなる面白さ。これが中山作品の真骨頂でしょう。

本作では大どんでん返しと言えるものがなく、順当に演劇部の部員が事件に関係しているのですが、その辺がちょっと物足りないところでした。

今日はこの辺で。