朝日新聞取材班「自壊する官邸」

私も朝日新聞を購読している一人で、ついこの間まで連載されていた「未完の最長政権」という連載をまとめた作品が本書。

第二次安倍政権の7年8カ月という歴代最長政権の功罪、どちらかというと朝日新聞らしく「罪」を強調する論調。何ゆえに安倍晋三という、人間的にも教養的にも軽い人間が最長政権を築けたのかは、私的には民主党政権があまりにだらしなく瓦解し、国民に愛想をつかされたために、自民一強となり、インフレ推進派の入れ知恵でアベノミクスを謳い、曲がりなりにも景気を良くしたように見せかけたため、そして選挙のたびに北朝鮮がミサイルや核実験を行い、危機を煽ったことから、なんとなく自民党右派の安倍政権に票が集まったとしか思えないが、いずれにせよ、こんな人間に8年近くも政権をゆだねることの危険性はハラハラものであった。

選挙に勝てば何でも許されるという強い信念の下、憲法や法律無視の行為が頻発し、権力の私物化が横行し、官邸一極支配を麻生・菅とのトライアングルで築いてしまった罪は重い。結局、慶応病院に派手な通院を行い、重病人であるかの如く偽装して、コロナの圧力から逃げた政権は、一時政権と同じ末路。朝日もそこまでは書いていないが、官邸官僚が各省庁の監視監督機関のごとく肥大化し、官僚は忖度して何もアイデアを出すことが亡くなってしまった弊害を、誰が修復するのか。

今のところ岸田政権に期待するしかないのがもどかしい限りである。

怒りを込めて、今日はこの辺で。