原田マハ「あなたは、誰かの大切な人」

原田マハさんの作品は、映画化された「キネマの神様」はじめ、圧倒的な人気を誇り、amazonのレビュー数も、作品によっては1,000件以上の作品もあります。直木賞にも4回候補となっていて、未だ受賞に至っていません。受賞しても何ら不思議がありませんが、審査員たちの目がおかしいのか、その才能に嫉妬しているのか?残念ですが、そのうち受賞するのは間違いないでしょう。

本作品「あなたは、誰かの大切な人」は、6篇の短編集で、原田作品としては地味な作品群ですが、原田さんの優しい思いがこもった作品が揃っています。

連作ではなく、全て主人公は、親兄弟や大切な友人を持つ女性たち。

「最後の伝言」は、髪結いの亭主と言われるような遊び人で放浪癖のある父親と一家の生活を支えた力強い母親の物語をやさしく語る娘。母親は決して自分の夫を恨んではいなかった。

「月夜のアボガド」、「緑陰のマナ」、「皿の上の孤独」は、外国を舞台とした作品。アメリカ、トルコ、メキシコを舞台に、それぞれの日本人主人公女性が外国人や日本人の貴重な友人たちとの交流を描く。

「無用の人」は、平凡な父親ではあるが、子供の夢を尊重するよき父親が最後に残していったのは、茶の心と素晴らしい眺めの部屋だった。

「波打ち際の二人」は、親友との旅行が何よりの楽しみのアラフォー女性が、母親を心配しながら親友とのひと時を過ごす。

全編通じて、こんな親友がいればいいなあと、つくづく思いました。また、主人公女性は皆さん、自立した生活力ある方たちですが、親の老後や別れのつらさを表現してくれていました。

今日はこの辺で。