本日(2020.05.16)の朝日新聞朝刊、真山仁氏のオピニオン面の「コロナと正義」に感銘を受けました。「自粛要請」にもかかわらず、社会の雰囲気としては「強粛」となっている今の状況に大きな警鐘を鳴らしています。
今の社会状況の中で何が正義なのか?最近ではPCR検査で陽性とされた女性が、山梨からバスに乗って東京に帰って来ていたことに、大きなバッシングがありました。その女性の事情は何も考えず、ただただバッシングすることで正義を振りかざす人たち。PCR検査数が増えない政府の対策では、実はそこら中に無症状の陽性者がうようよしていることの現実の方がよっぽど不正義にはずなのに。
その前にはパチンコ屋さんが開業していることに関しても、大きなバッシングがありました。実は今のパチンコ屋さんは、たばこ対策もあり空調対策が非常に強化されていることなど、3密を制御している環境であることを理解していない。それよりなにより、パチンコ業界の雇用者は20万人もおり、どちらかと言えば低所得であることなどの事情は何も語らずに、ただただ店を閉めろと言って正義を振りかざす風潮。社会に自粛警察が蔓延してきているようです。
首相は会見の都度「新たな日常」と言って、生活ルールの細部まで語って、これを守るように呼びかけますが、実はこれが最も社会に同調圧力を強いることになっています。権力のトップが言っていることを社会は「正義」と勘違いし、正々堂々と正義を振りかざす人間が幅を利かす社会ほど危険なものはないのです。
戦前戦中に戦争を否定する人は非国民とされ、一億玉砕などの言葉が言いはやされましたが、今の状況は、政府の要請=実は強制に従わない者は非国民とされ、バッシングを受けて当然の風潮になっていないか。私たちはこうした風潮こそ最も恐れなければならないものと認識しなければならないのですが。
今日はこの辺で。