諸田玲子「氷葬」

初めて読む作家、諸田玲子さんの「氷葬」読了。恥ずかしながら、作家名も知らなかったのですが、時代小説ではかなり有名な方のようで、たくさんの作品があります。

今回はたまたま図書館で出にとった「氷葬」を読んだのですが、時代劇ミステリーとしての趣があり、先はどうなるのかという期待感もあり、引き込まれました。

江戸時代中期の176年代ごろに起きた明和事件が題材となっているとのことで、この「明和事件」も初めて聞くもの。尊王攘夷派江戸時代末期の討幕派の思想ですが、江戸時代中期にも同じような思想を持った学者や武士がいたことを知りました。

岩槻藩藩士の妻女芙佐が、夫が江戸詰で留守中に、夫の恩人の武士の来訪を受け、辱めを受けたことから彼を殺害したところから話が始まり、幕府転覆思想に絡んだ勢力と、幕府隠密の十右衛門との争いの巻き込まれる展開が続きます。明和事件で処罰された山県大弐藤井右門などの名前が最後の方に出てきますが、こうした実話をネタに面白い話を作り上げるのが時代物の真骨頂でしょうか。朝井まかてさんの「恋歌」を思い出しました。

今日はこの辺で。