誉田哲也作品「アクトレス」読了。“アクトレス“とは普通に読めば女優。本作にはほぼほぼ女性が主役で登場しますが、女優とされるのは小説や脚本なども書く片山希莉さんと、人気絶頂の美人女優の真瀬環菜さんのお二人。しかしながら、全体の筋としては、環菜さんが殺されて犯人と突き止める、かつてドミナン事件に居合わせた希莉さんとカフェを経営する琴音さん、元警察官で探偵となる森奈緒さん、同じ探偵事務所にいる八辻芭留さんの四人が活躍するということで彼女たちがアクトレスかも。
本作はミステリーですが、その特徴は上記四人の他に、和美という女性が登場し、子供の頃から目立っていて、女優となっていくさまが描かれること。そして和美が実は環菜であり、そのマネージャーが環菜の姉であることが最後の方で明かされる。和美はマネジャーを奴隷のようにこき使い文句を言う場面があることから、姉妹とは感じさせないところが本作のミソ。やがて環菜が殺され、果たして誰が殺したのか?希莉さんが単独で犯人探しをして、環菜ファンの男に6日間も監禁される羽目になるが、残りの三人が力と知恵を出し合って希莉の居場所を突き止め、環菜が実は姉と同居していたことを突き止め、二人の間には一人の男性をめぐって葛藤があったことから、妹を殺めてしまうという筋書き。
ところで最初に四人の女性が“ドミナン事件”で知り合うことが書かれ、そのドミナンとは喫茶店の名前であることもわかるのですが、この事件がどんな事件であったのかの説明がなく、誉田氏の違う作品に出てくるのかと想像するだけ。何となく不親切で、せめて簡単な事件の概略でもわかればすっきりしたのですが。
今日はこの辺で。