東野圭吾「沈黙のパレード」

湯川博士ガリレオシリーズの長編「沈黙のパレード」を読了。映画で見ていましたが、ほとんどストーリーも覚えておらず、東野先生らしい読みやすさと、最後の一ひねりに納得。

都下の菊野市という架空の街が舞台。たまたま湯川の研究施設があり、事件と向き合うことに。17年前の事件からさかのぼるが、ある男が都内で女児を殺害し、黙秘を通したことから不起訴となり、刑事補償金までせしめるという事件が起きる。17年後、菊野市で将来を嘱望された歌手の卵の女性が行方不明となる。その死体が静岡の、かつて17年前に黙秘で無罪となった男の実家から3年後に見つかり、たまたま湯川がこの事件に関わることに。当然に、その男が疑われるが、同じように黙秘を貫き釈放されてしまう。女性の実家は菊野市で飲食店を経営しており、そこに集まるお客は皆が飲食店親子と親しい付き合いをしていたため、何とか私刑できないかと相談がまとまり、奇想天外な殺害方法がなされるという展開。沈黙のパレードとは、黙秘と菊野市で開催されるパレードにかけたものと想像されるが、これは湯川博士でなくてはトリックが見破られない凝ったもの。

実際に殺害したと思っていたのが、彼女をプロの歌手にしようとした夫婦の妻の方。折角見つけた原石を恋愛で失いたくない思いから、突き飛ばしたときに打ちどころが悪かったのですが、実は死んでいなかった。更にそれを目撃していたのが容疑者だったのもあまりにも偶然過ぎるが、犯罪は偶然がなせる業として納得。

今日はこの辺で。