東野圭吾「透明な螺旋」

東野作品を読むのは久しぶりで、ブログを見ると2021年4月の「11文字の殺人」以来でした。その間にもたくさん書いているのに、東野さんには大変失礼と謝りたい心境です。

今回読んだのが「透明な螺旋」という作品ですが、相変わらず読みやすく、東野先生の本が1億冊以上売れたとの記事にも納得。やはり当代髄一の売れっ子作家と言って差し支えないでしょう。

本作はおなじみの湯川シリーズで、相変わらず湯川教授の推理力が発揮されます。

戦後間もない1948年に秋田で生まれた女性が集団就職で東京に出てきて一人の男性と出会い同棲し、子供もできて男性も張り切って仕事をしていたのですが、過労による突然死。とても子供を育てていく余裕もなく、女性は養護施設の前に子供をおいて託して立ち去る。

時がたって現代。その養護施設で働いていた50歳前のシングルマザーが亡くなり、残されたのは青果店で働く一人娘。その娘さんは男性経験もないまま、一人の男と出会い同棲。しかし、その男はプライドばかりが高く、生活力がなく、DVまで振るう始末。その男が千葉の海岸で死体として発見され、事件が始まる。養護施設に生まれたばかりの子供を置いてきた女性は誰なのか、その女性は亡くなったシングルマザーと関係があるのか、その娘は孫なのか?こうした謎を見事に解いていく湯川教授と、それを囲む草薙警部と内海刑事という、おなじみのメンバーが登場して、事件の謎が解かれていく。おまけに湯川教授の出自についても明らかになるというラストでした。

今日はこの辺で。