秋吉理香子「婚活中毒」「灼熱」

秋吉理香子さんの二作品読了。

「婚活中毒」は4編からなる婚活に関するブラックジョーク的な作品で、笑わせるとともに、現代の結婚事情を考えさせる物語。

「理想の男」は四十路に届こうかという女性が男性に振られ、実家に帰って地元の結婚相談所で理想的な相手を紹介される。こんな理想的な男がなぜ相談所に登録しているのか疑問を持った女性が、過去にこの男が相談所を通して付き合った女性を調べると3人全員が亡くなっていることがわかる。男が殺したのか?実は意外な人が犯人だったというお話。

「婚活マニュアル」は、婚活のBBQパーティーに出た男が、自分の組にすごい美人とすごいブスの女性が来てがぜん張り切ってしまう。そしてマニュアル通りの対応をして美人の方とマッチング成功。付き合い始めると我儘で金のかかる女。これでは金が持たないとブスの気立てのいい女に乗り換えるが、其処にはとんだ罠があったというお話。

「リケジョの婚活」は、ロボット開発をしているリケジョの女性が東京からはるばる熊本で行われるTVの婚活番組に出席。目当ての男性には13名もの女性がプロポーズ。残念ながらリケジョさんのマッチングはならなかったものの、リケジョらしく、カメラを仕掛けたペットロボットをその男のうちに置いてきたのだった。

「代理婚活」は、親が婚活パーティーに出席し、親同士がマッチングする話。最初は消極的だった70歳の父親が、相手の母親が美人だったことから、息子が断ってくれと言ったものの、相手の母親に会いたいがために断りを入れず2回ほど息子なしで相手親子と会うことに。相手の娘は息子が気に入り、婚約したいと申し出てしまうピンチに。でもここで助け舟が現れる。相手の親子が婚活詐欺だったことが判明し、父親は胸をなでおろす。

未婚者が増える状況下、笑えない話もありました。

「灼熱」は、主人公の女性の夫を殺したとして逮捕された医師が、証拠不十分で不起訴となり、その医師に復讐するため名前も顔も買えて医師に近づき結婚し、殺害した証拠を探して復讐の機会を狙うが、次第に医師に好意を抱き始める。しかし、夫である医師が不審な言動も見られる。そんなとき、心臓の悪い医師の妹が退院することになり、妹に預けていたPCを見ると、共犯だったのではないか、そして、自分の正体も知られているのではないかと疑問を持つ。そこに医師の妹が絡んで真相が明らかになる。医師は夫を殺してはいないが、かつて主人公の大切な人をひき逃げして殺していた。自責の念から、常に女性を見守り助けてきたことがわかるのだった。

2時間ドラマにうってつけの原作ではないかとの感想を持ちました。

今日はこの辺で。