辻村深月「オーダーメイド殺人クラブ」

世の中からいじめはなくならない。学校、職場、家庭では様々ないじめが横行し、多くの人間がある時はいじめられる側、ある時はいじめる側、そしてある時は傍観者として、そのいじめに関わることになる。本作は女子中学生である小林アンさんが学校でのいじめや、家庭での母親からの何気ない無神経な言葉に反感を抱き、自分の居場所がないことを悟って、同級生の男子生徒徳川さんに自分を殺してと頼み、二人でアンさんの殺され方をオーダーメイドしていく姿を描く「オーダーメイド殺人クラブ」。

アンさんは同級生の芹香さんと倖さんと仲が良いが、ちょっとしたことでその仲間から外れてしまう。女子中学生という多感な年ごろでは、こういったケースは普通にあるのでしょう。その仲はすぐに良くなるので、それでもアンさんの心は何かパッとしない。アンさんは以前から殺人事件などの記事を集めており、母親に勝手に見られたことにも憤激して、いよいよ自分の居場所がなくなっていく気になっていく。そんなアンさんがいつも気にしている男子生徒が徳川さん。ある時河原で徳川さんが、不気味なものを棄てているところを目撃し、徳川さんがひょっとしたら自分を殺してくれるのではないかと思い、徳川に声をかけると、徳川さんは承諾して、二人はアンさんをどうやって殺すかをオーダーメイドし、準備を重ねていく。そして実行の日、アンさんが待つ場所に徳川は現れない。徳川さんはやっぱり自分を殺してくれないのか?と思っているところに、ようやく徳川が現れるが、徳川は「アンを殺せない、今日はほかに用事がある」旨話し、その用事を察したアンがその実行を止めようとする。

結局徳川はアンが好きであり、アンも徳川が好きだった、という話。残念ながら殺人事件は起こらず、したがってタイトルも「殺人クラブ」。

どう見てもおかしな話なのだが、結構人気がある作品のようで、特に若い女性には受ける作品なのかもしれない。私自身は370ページも読んで逆に損した気分になった次第。

今日はこの辺で。