中山七里「隣はシリアルキラー」

久しぶりの中山七里作品「隣はシリアルキラー」読了。

主人公の神足友哉はメッキ工場に勤務する青年で、会社の寮に暮らしているが、隣の部屋の中国人技能実習生が、深夜に浴室を使っていることから、その音で寝不足が続く。その音とは単にシャワーを浴びる音ではなく、何かを切り刻むような不気味な音。一方、神足が住む大田区では、若い女性が連続してバラバラ死体で発見される事件があり、神足は中国人実習生が死体を解体いているのではないかとの妄想を抱いてしまう。ある時神足は、我慢しきれずに中国人実習生を追跡し、彼が死体の一部を工場の廃棄物奥歯に遺棄したのを目撃。神足は工場の先輩の矢口にそのことを話し、矢口は警察に通報した方がいいと話すが、神足には警察に通報したくない理由があった。彼は、かつて勤務した会社で一方的な片思いが高じて、後輩の女性社員をストーカーし、傷害を負わせ、懲役5年の刑を受け、出所後は就活するものの前科で採用がならず、ホームレスから戸籍を買って生きているという今があった。そのことも含めて矢口に話し、矢口は随分と同情する経緯がある。この辺で矢口がバラバラ殺人に絡んでいるのではないかと私は想像してしまうのですが、これは大外れ。神足には同じ工場の同期で検査係の別宮紗穂里という恋人もいるが、彼女には自分の過去を絶対に告白できず、今まで体の関係もない。

一方警察は、神足の匿名電話から、神足が怪しいとみて神足の過去を追ううちに、神足が戸籍を買って別人になりすましていることを突き止め、一層彼に疑いをかける。そしていよいよ中国人実習生の家宅捜査に至るのだが、これも神足を罠にかける大芝居と見た私ですが、これまた大はずれ。実習生の部屋からは死体の一部が発見され、実はあっと驚く犯人が別に現れるのでした。

得意のどんでん返しはいいが、このフィクションに関しては、どうも薄っぺらい話で、中山作品としては最下位に近い作品と思った次第。

今日はこの辺で。