若手推理作家として注目されている下村敦史作品「刑事の慟哭」読了。「テスカトリポカ」を読んだ後だけに、本書のようなカタカナが出てこない、分かり易い勧善懲悪的な作品の読みやすいこと。二日間で楽に読み終わりました。
新宿警察署の田丸刑事は、捜査感は優れているものの、上意下達の警察組織人としてはマイナスのレッテルを張られた刑事。連続殺人犯の逮捕を発表しているキャリア警察官のメンツをつぶして、その場で真犯人をあげてしまったことから、組織の仲間外れ的存在となっている。そんな新宿署管内で２件の殺人事件が発生。本庁主導で進む捜査で犯人が特定されつつある中、田丸刑事は疑問を抱き、進行中の爆破殺傷事件の裁判と絡めて、真犯人を特定していく話。田丸刑事の相棒は本庁の神無木刑事で、彼に迷惑をかけまいとして種々気を使う場面が出てくるのはご愛敬。
「慟哭」の意味は、警察という保守的で面子ばかりが横行する組織との戦いをあらわす意味を含めたものと理解しました。
今日はこの辺で。
