森ゆうこ「検察の罠」

森ゆうこ氏の国会質疑は、傍若無人というか、恐れを知らないというか、国会中継を見てても飽きさせることなく、時にスカッとするぐらいで、好きな議員さんの一人です。そんな彼女が、これだけ小沢一郎信者とは知りませんでしたが、小沢一郎を貶めようとした検察の罠に抵抗し、徹底的に検察と戦った記録が本書「検察の罠 小沢一郎抹殺計画の真相」。非常にはっきりものを言い、しかもそれだけのデータも集めて、検察による恣意的な小沢一郎抹殺計画を非難している姿は、まさに国会質問と同じく、スカッとするものがあります。勿論、これだけずばずば言う議員も少ないことからバッシングも相当でしょうが、それにめげない姿は、加計学園問題でも見られました。

生まれは私と同じ1956年ですから、そんなに若い型ではありませんが、小沢裁判は約10年前になるので、50代前半ごろ。そんな彼女が国会議員になったのは2001年、45歳の時。その前は1999年に新潟県の小さな町会議員を2年間務めただけですから、相当な論客で活動家だったことがうかがえます。

小沢一郎が巻き込まれた西松建設事件では証拠がなく検察は立件できず、小沢の政治資金管理団体である陸山会政治資金規正法事件を突破口として小沢を有罪にしようとしたが、検察審査会まで行ったにもかかわらず無罪判決。しかしながら、秘書だった大久保氏や国会議員だった石川氏は有罪となり、石川氏は議員を失職し、刑に服しました。現在進行形であった菅原一秀経済産業大臣が、香典などを秘書に配らせた事件が不起訴で、石川氏が有罪判決を受けるなど、日本の刑事司法は検察と裁判所に歪められていますが、まさに恣意的操作と思惑が横行しています。それの輪をかけて、マスコミは検察のリークに踊らされて、小沢を悪者扱いし、小沢の影響力は急激に減退してしまいました。西松建設事件や陸山会事件というと、「小沢が政治資金を不正にもらった事件」というイメージが国民に定着してしまい、検察審査会まで行って無罪になったとしても、それがぬぐい切れていないという現実は、正に抹殺計画が成功したというところでしょう。

森ゆうこさんや小沢一郎本人にしても、この事件が小沢の影響力をそぐための検察なり自民党なり、あるいは当時政権に就いた民主党の反小沢勢力の陰謀だったとの見立てですが、それは間違ってはいないと私は思います。

本書の終盤あたりで、検事長定年延長問題や賭けマージャンで話題になった黒川弘務氏が、法務省官房長として登場します。政権の守護神と言われた黒川氏ですが、2012年当時既に相当の実力があったことを森氏も認識していたようで、8年前の著作とは思えないほど。黒川氏は森氏の質問に対して、官僚検察官らしくまともに答えない態度が読み取れます。こうして安倍政権に官房長・法務事務次官として、信頼を勝ち取っていったのでしょう。

今日はこの辺で。