非日常が日常に代わる日

5月25日、安倍首相が非常事態宣言の全都道府県での解除を発表した。予想した通り、日本の感染者、死亡者が欧米諸国と比べて極めて少ないことから、日本モデルとして、まっるで自分の手柄のように自慢する姿に憤りを覚えた。安倍首相が目に見えてやったことは、急な小中高校の休校とアベノマスクだけ。いずれも、その決定過程が不明確で、今回のコロナ禍対応を今後の対策に生かすという意味での記録が残されていない可能性がある。

政府は宣言解除に当たって、非常事態宣言下の今までとは違う非日常のライフスタイルを継続して、第二波、第三波に備えるように国民に訴えている。リモートワークやフィジカルディスタンス、マスク着用など、非日常をこれからは日常にしたライフスタイルを推奨している。

戦後の日本で非日常があっという間に日常になった例は、まずは敗戦後のライフスタイル。このときは絶対君主制から立憲民主主義へと、政治・社会体制が180度変わったことから、その変容も相当大きかったといえよう。いわばアメリカ的なライフスタイルを手本にして、大量生産大量消費社会が到来した。

その後、日本社会においては数多の重大な事件・事故・災害(60年安保闘争、高度経済成長、オイルショックバブル経済隆盛と崩壊、阪神淡路大震災、オーム真理教事件、東日本大震災原発事故等々)などが繰り返されてきたが、それを契機に一気にライフスタイルが変わることはなかったのではないか。

その意味で、今回の新型コロナウィルス感染拡大とそれに伴う経済・社会行動の変化は、敗戦によるライフスタイルの急激な変化をもたらすのではないかと思われる。すなわち、コロナ対応で社会行動、具体的にはソシアル・ディスタンス、リモートワーク、時差出勤、大規模集会の自粛等、仕事を含めた非日常的なライフスタイルが日常になってしまう可能性をひめている。特にリモートワークについては、一気に会社のスタイルを変えている。大手企業にあっては、今後50%以上はリモートワークにするケースや、この際週休3日制にしてしまうような企業も現れている。こうした変化は、家庭をはじめとした社会生活も非日常が日常になってしまうのではないか。

これが実現すると、例えば企業の本社スペースも半分あればよくなって、丸の内・大手町界隈の大型テナントビルは空き室が増え、大手不動産会社も経営危機になることも考えられる。職住接近の鋼材も指摘されるが、やはり24時間しかない1日の時間で3~4時間も通勤に使う生活が尋常とも思われないので、解消されるべきだ。そこでまた鉄道も通勤客が圧倒的に減り、鉄道会社が経営危機になる可能性もある。

今までの日本の日常が非日常にとってかわられることによる、経済への影響は甚大となる可能性もある。こうした動きを注視していきたい。

今日はこの辺で。