ドキュメンタリー映画「13th -憲法修正第13条ー」

アメリカのドキュメンタリー映画「13th -憲法修正第13条ー」をNetflixで視聴。

アメリ憲法修正第13条とは、奴隷制を禁じた憲法の条文で、1886年に議会で成立したもの。リンカーン大統領は南北戦争時代の1864年奴隷解放宣言を行ったが、実際には各州が独自に奴隷制を容認した州法を作る動きがあり、宣言通りに全面廃止には至らなかったようです。こうした動きに対して危機感を持ったリンカーンは、憲法への奴隷禁止を明記するべく動いたが、最初は否決されてしまう。2年後の1886年に再び上程し、議会の多数派工作を行った結果、やっとこの修正13条が憲法に盛り込まれることになる。ただし、黒人に対する奴隷的扱いはその後も続くことになり、未だにアメリカ社会には人種差別がはびこっているのが現実。昨日視聴した「ロサンゼルス暴動」に見られるような、白人警察官による黒人への暴力は未だに根絶していないのは何故なのか?差別は何故なくならないのか?これを追及したのがこの映画であります。

・解放宣言が出たものの、貧困層の解放奴隷だった人々が不当に逮捕され、受刑者として刑務所内労働が強制されることになります。修正13条には、受刑者は奴隷的扱いを受けていい旨の表現があったので、これをうまく利用されたきらいがあります。

・南部の各州では人種差別を合法とするような「ジム・クロウ法」ができ、投票権のはく奪、公共施設利用の制限などの差別が横行しました。これは、昨年公開のアメリカ映画「グリーンブック」でも描写されていました。

・更に驚くのは、産獄複合体なるシステムから、受刑者を増やして企業が利益を上げるというとんでもない構造もつくられました。

このうち、産獄複合体について触れてみましょう。日本における受刑者は2万人程度に対して、アメリカでは200万人以上で2桁違います。アメリカでは民間刑務所ができてきており、企業が利益目的で刑務所運営している面があります。受刑者が多いほど企業の利益は多くなるため、警察との連携があればいくらでも受刑者を増やすことができます。実際にその疑いのある、軽犯罪で重罪を貸される例が増えていることも確かなようです。その対象となるのが黒人などのマイノリティ。アメリカにおける黒人男性の割合は6.5%であるのに対して、受刑者に占める割合は40.2%と、極端に偏在しています。貧困層が多いことを考慮しても、こには意図的な逮捕の匂いがプンプンします。

もう一つは、受刑者になる比率ですが、生涯に投獄される割合は白人の場合は17人に1人にに対して、黒人は3人に1人という極端さ。よりたくさんの人間を投獄させて、その恩恵を企業が受けるなんて言うイステムがあっていいものか?アメリカ社会の病巣を感じました。

もう一つ映画で語られる重要なことがありました。裁判制度です。アメリカの司法関係のテレビドラマ(SUITなど)でよく聞きますが、司法取引制度があります。軽犯罪又は無罪ながら不法逮捕されても、裁判で争えば重罪になる可能性がかなりあるようですが、検察官も裁判官も腐るほど事件を抱えているので一分一秒でも裁判で時間を取られたくない。そこで裁判官・検察・弁護士が三位一体となり容疑者に司法取引を持ち掛けるおかしな制度です。無罪であっても実際に裁判になれば有罪間違いないと言って説得して、容疑者も納得してしまうケースがごまんとあるようです。

アメリカのマイノリティに人権があるのか?極めて疑わしい限りです。

今日はこの辺で。