池井戸潤「果つる底なき」

池井戸潤の初期作品で江戸川乱歩賞受賞作「果つる底なき」を再読。かなり前に読んだ作品で、ほとんど初読に近い状態で、改めて楽しんで読むことができました。

焦げ付き債権を調査していた銀行員が死亡し、その死に疑問を持った同僚の銀行員が真相に迫っていくミステリー。この作品を足がかりに、池井戸さんは次々にヒット作を発表し、「下町ロケット」で直木賞を受賞するのですが、作風は基本的には変わっていないのがよくわかります。

池井戸作品には刑事、検事などのプロの捜査官は登場せず、銀行員や中小企業の社長さんなどが主役となっています。「果つる底なき」では大庭刑事と言う人が登場しますが、あくまで端役扱い。

ミステリーは、どうしても最後に犯人が判明し、主人公との対決場面があるのですが、このでも派手な場面があります。これはこれでよいのですが、犯人が何人も殺したりけがをさせたりして、逃げ切れるのかという疑問が浮かび上がります。それほど日本の捜査機関も間抜けではないだろうと思うのですが、フィクションを作り上げるためにはある程度許容範囲なのでしょう。

今日はこの辺で。