黒田福美「夢のあとさき-帰郷祈願碑とわたし-」

韓国通で知られる女優の黒田福美さん著「夢のあとさき-帰郷祈願碑とわたし-」読了。黒田さんとは、たまたまFacebookのお友達になっていて、メールで投稿のお知らせがあり開いてみると、何とあの杉田水脈議員とNETで対話しているのを見たから。かねて韓国通で、嫌韓とは全く関係ない黒田さんが、あの「生産性」発言をして、いかにも韓国ぎらいっぽい杉田氏と対話し、しかも杉田氏のことを先生と表記していることから、黒田さんとはどんな方かと思ったことが本を読んだ動機。

「夢のあとさき」と「それでも私はあきらめない」という2冊の同じテーマを扱った著作がありますが、「それでも私はあきらめない」は前作「夢のあとさき」に加筆・修正したもので、ざっと見ると内容はほとんど同じ。1年遅れで書かれていますが、出版社は別。出版のことはよくわかりませんが、こういうこともありなのか?。

話は横にそれましたが、黒田さんは1980年代から韓国に興味を持ち、独学で韓国語を習い始め、それが高じて韓国にも留学して、知る人ぞ知る韓国通になった方。そんな彼女が1991年、夢の中に朝鮮人の青年が現れ、「自分は特攻隊員として日本名で死んだが、朝鮮人の名前で死にたかった」と訴えたことから、それを実現すべく、朝鮮人特攻隊員のことを調べ始め、夢の中の青年が、卓庚鉉(日本名 光山文博)であることを突き止めることから始まり、青年の親族さがし、慰霊碑建立場所の手配、除幕式の準備、最終的な慰霊碑の落ち着き場所まで、ほぼ20年がかりで行う物語。女優の仕事をしながら日本と韓国を行ったり来たりの大変な作業をこなす様子が生々しく描かれます。「はじめに」で黒田さんが書いているように、すべて実名で関係者を表記しているので、中にはこの本で名誉を汚されたと感じる方も出てくる可能性もあると思うのですが、すべて正直に書いている証拠として実名を書いたようです。

黒田さんはこの活動を通して、「反日を国是」とする韓国社会の一種歪んだ側面、特に一部強硬な反日団体の主張に逆らえない雰囲気があることの弊害が社会全体を覆い、それが政治に反映されていると解釈します。日本の植民地支配のせいで特高で亡くなった卓庚鉉さんでさえ、「親日」として扱われる理不尽について理解しない団体があることに大きな問題があると唱えます。(ただし、私は「反日が国是」となっているとの説には承服しかねますが)

私自身は、日韓に関わる徴用工問題、従軍慰安婦問題については、日本の対応にも問題があると考えるのですが、韓国内の反日勢力の大きな声に逆らい難い雰囲気があることにも問題があることを理解したうえで、冷静に考えることをこの本から教わりました。

今日はこの辺で。