映画「夕陽のあと」

11月24日(日)は、新宿のシネマカリテにて日本映画「夕陽のあと」鑑賞。

鹿児島県北西の海に浮かぶ島の町、長島町を舞台に、里親として8年間里子を育てた夫婦の前に、産んだばかりの子供を、相手の男のDVと貧困で捨てざるを得なかった生みに母が現れ、二人の母親の葛藤を描く物語。

映画の題材としては、よく使われるテーマで、是枝監督の「そして父になる」やニコール・キッドマン出演の「ライオン」などが思い出されますが、いずれも育ての親と生みの親とではどちらが本当の親になるべきなのかを問うているのですが、やはり「子どもが幸せになること」を、先ずは第一に考えるべきなのでしょう。生みの親に対して、彼女に想いを寄せる役場の職員が、そのことを言っている場面がまさに答えになったのでしょう。

生みの親を演じた貫地谷しほりさんは確かに迫真の演技を見せており、この映画を盛り上げていたと思います。

鹿児島県長島町はどんな町なのか。町のHPで見ると、やはり人口は1960年の21,179人に対して2015年には半分以下の10,431人となっています。5年ごとの国勢調査の数字ですが、増えた期間は全くなく、ただ減る一方です。映画の中でもありましたが、高校がないため、高校生になったら島を出ていく人が多く、帰ってくる人は半分以下なのでしょう。

更に見ていくと、2016年の数字ですが、出生数は年間約100人に対して死亡者数は200人、転入転出では、転入が320人、転出が335人と、ここでは健闘している方でしょうか。この映画では、この町の風景や夕陽の美しさや濃密な人間関係、にぎやかなお祭り風景などを盛り込み、町の広報的な側面を見せてくれます。

この映画自体が単館系の映画で、観客も少なかったのですが、映画自体は素晴らしいので、ぜひ見ていただき、同時にこうした美しい島の町があることを知ってもらいたくなる思いでした。

今日はこの辺で。