混迷する領土、領海問題

日ロ、日韓、日中と、立て続けに領土・領海問題が緊迫化し、民主党自民党の代表選も絡んで、タカ派的な意見が支配的です。特に自民党は、民主党の弱腰外交や日米関係の誤りをあげつらい、過激な発言が横行しています。
何か今の日本では、「竹島は韓国に、尖閣は中国にあげてもいいじゃないか」なんて話したら、国賊扱いされそうな雰囲気があります。
さて、素朴な疑問ですが、「竹島尖閣も日本固有の領土」が一般的な世論で、あたかも国民みんなが、その歴史的背景、帰属の背景を理解しており、中国や韓国は過去の歴史も知らずに騒いでいる、との印象があります。果たしてそうでしょうか?日本人のどれだけの人が、「固有の領土」たる歴史的背景を理解しているのか?少なくとも私には、wikipediaを読んだぐらいでは理解できませんでした。
先ず、日本は徳川260年間鎖国しており、開国して約150年です。江戸時代は北海道も日本の「国」の名称はなく(東北の出羽、陸奥まで)、勿論琉球も日本には属していません。中東、パレスチナの地にユダヤ国があった2,000年以上前の話ではなく、そもそも日本の領土・領海問題はここ100年ぐらいの話です。それでも確たる「固有の領土」であることの証明は難しい話です。
日本のジレンマは、竹島は実行支配していないから国際司法裁判所に訴える、逆に尖閣は実行支配しているから「領土問題は存在しない」です。これでは国際社会、特に中韓に説明がつきません。
それにしても日本の政治家の浅はかなこと。先ず、石原慎太郎が無責任にもアメリカに行ったついでに、アメリカで記者会見を開いて、突然尖閣を都が購入するとぶちあげ、石原を抑えるために野田政権が安易に国有化を閣議決定した経緯。ここで誰も今日の中国の反応を予測できなかったのか?「国有化の結論は先延ばしにした方がいいですよ」と誰もアドバイスする人がいなかったのが残念です。
民主党代表選は終わりましたが、自民党総裁選は明日決着がつきます。5人が5人ともタカ派的発言を繰り返し、支持を訴えていますが、誰がなっても次の首相候補NO.1となります。どの面して中国と向き合うのか?まさか自衛隊を派遣して中国船を追っ払うような馬鹿なことをしないのを祈るばかりです。
今日はこの辺で。