予知夢を読んで

東野圭吾の湯川シリーズ「予知夢」を読み終える。これは短編5編の軽い読み物だが、改めて東野のうまさを実感しました。特に印象に残ったのが「締殺る(しめる)」。小さな町工場の社長の自殺トリックを描いているが、こうした小企業のバブル崩壊後の苦境を描いた話というのは、読んでいてどうしても悲惨さを感じさせる。この話自体は経営の苦しさ云々を詳しく描いているわけではないが、読んでいてそれがすぐ嗅ぎ取れるのである。奥田英朗の「最悪」にも町工場の社長の苦闘が描かれているが、それを思い出してしまうのである。東京一極集中と地方の深刻な過疎化、大企業の好業績と中小企業の苦境、勝ち組と負け組、それぞれ対極をなす現代日本の問題点が小説の中でも数多く取り上げられ、身につまされる思いを強くする今日この頃です。
今週もあと一日となりました。終末は久しぶりに女房と映画に行くことになっていますが、その映画評は土曜日にお伝えします。
今日はこの辺で。