映画「あのこは貴族」

日本映画「あのこは貴族」を4月11日(日)、武蔵野館で鑑賞。

日本には現在貴族制度はありませんが、格差社会は急速に進行して、コロナ禍になって更に格差が広がっていると言われる。この映画はコロナ禍以前の撮影なのですが、冒頭の上級一族の元旦の食事場面から、私などはお目にかかったこともないような料理を見せられ、生唾を飲むような羨望、嫉妬を感じさせるようなヒエラルキーを感じさせます。そんな家族の28歳の女性の婚活を描くのが第一章、第二章は地方の高校で頑張って勉強して慶応大学に入学したものの、家庭の事情で退学せざるを得なくなる、いわゆる庶民の家庭に生まれた女性。二人の対照的なヒエラルキーに属する女性を主人公に、人間ドラマを淡々と描きます。女性監督らしい脚本と演出が、睡魔を感じさせない興味を抱かせます。

終盤の、上級に属する女性が離婚する過程や心境が詳しく描かれないところは、見る人に問いかけているような演出。東京の松濤という高級住宅街育ちの女性が名門家の男性と結婚して、その上級家族から逃げ出せないかたぐるしさに我慢がならなかったのか?

庶民出身の女性もまた、経済的事情から名門大学を退学せざるを得ないような苦労を重ねなければならなかった境遇からなかなか抜け出せない方ぐるしさ。

庶民出身で庶民から抜け出せない自分からすれば、上級市民にはなりたくない気分を味わいました。

今日はこの辺で。