岩波書店編集部編「教育勅語と日本社会」

安倍政権の長期化に伴い「権力は堕落する」がはっきりしてきました。「桜を見る会」における安倍の頓珍漢な答弁に納得する人はまずいないと思うのですが、彼を取り巻くお友達たちは、一生懸命野次を飛ばして擁護しているようです。自民党内でなぜ批判する人がいないのか。安倍一強なる現在の政治状況にはうんざりしている今日この頃です。

さて、そんな安倍の取り巻きには日本会議に所属する右翼思想者がかなりおり、彼らは盛んに教育勅語の復活を叫んでいます。

本書は、教育勅語とはどんなものか、だれがどういう思想のもとに作ったか、現在の復活思想はだれが唱えているのか、そして何が問題なのかを、複数の著者が語っています。

教育勅語は、全文315字の短いもので、明治天皇が国民に向けて発した道徳教育の訓示のようなものです。そこに書かれているのは、

1.日本の国は神々や歴代天皇が治めてきて、道徳を作り上げました。

2.国民は忠孝に励み、立派な国を作り上げました。

3.親孝行しなさい、兄弟姉妹仲良くしなさい、夫婦も仲良くしなさい、友達とは信じ  あいなさい。

4.学問をおさめ、技術技能を習い、知能を発達させ、道徳をおさめ、公共の利益に貢献しなさい。

5.憲法や法律に従いなさい。

6.国に何か危急な事態が起こったら、勇気を持って国家につくし、永遠に続く皇室に協力しなさい。

7.以上に行いは、ただ天皇に忠実であるばかりでなく、みんなの祖先の残した美しさを称えることにもなるのです。

安倍内閣は、ここに書かれたことのよいところは学校で教えてもよい旨閣議決定したとのこと。全く恐ろしいことです。学校の先生はどうやって教えるのでしょうか。ざっと考えて、教えてよいのは上記3~5なのですが、こんなのはむしろ当たり前。まず前提として教育勅語とは何かを教えなければ意味がありません。そして歴史的事実を教えたとすれば、全体を否定せざるを得なくなります。これこそナンセンス。

安倍が盛んに「美しい国日本」と叫ぶ根底には、天皇や祖先か作り上げてきた美風の国と言う教育勅語の中の言葉がある気がします。

とにかく、戦後の教育基本法がある中、なぜ今になって教育勅語なのか?明治から昭和20年までの戦争をやってきた日本に回帰したいという気持ちがあるとしか思えません。

今日はこの辺で。