井口俊英「告白」

1995年に発覚した大和銀行ニューヨーク支店の巨額損失事件は、大和銀行アメリカからの撤退と巨額制裁金の支払い、そして銀行再編の波に飲み込まれていく端緒となった事件。
この事件の主役が、本書の著者井口俊英氏。彼は10年以上にわたってアメリカ国債取引により、最終的には11億ドルの損失を出し、しかもそれが発覚しないように巧妙に隠蔽してきたというところが不思議なところ。たとえドルで売り買いするにしろ、これだけ巨額の損失を隠蔽することができるのかが、まったく理解できないところですが、確かにこの著書を読むと、かなり頭がいい人であるのは確か。
最初に出した5万ドルの損失を取り戻そうとしたのが発端とのことですが、彼の主張は大和銀行のガバナンスの不備が主な要因であるというもの。確かに銀行のリスク管理がいい加減であることは確かではありますが、実際に犯罪行為を行ったのは本人。自己弁護に終始する彼の主張には違和感がありました。
52万ドルを個人的に着服したとは書いていますが、本当にそれだけなのか?どこかに隠し口座を作って蓄えたのではないか?彼のような頭のいい人間にはそれくらい出来たのではないかと思わずにはいられませんでした。
今日はこの辺で。