米沢穂信「王とサーカス」

米沢穂信作「王とサーカス」読了。2001年に発生したネパールでの国王暗殺事件を背景としたサスペンス。国際的な事件ということで、その概要を調べてみると、民主的な国王ビレンドラを、その息子のディレンドラ王子が暗殺し、その王子も傷を負い、数日後死亡、ビレンドラ国王の弟のギャネンドラが王位についたという事件。ただし、王子が犯人かは不明で、本当はギャネンドラが仕組んだクーデターではないかという疑惑がもたれている事件。そんな疑惑の国王ギャネンドラは、結局2008年には失脚し、ネパール王政が廃止となりきっかけとなった事件です。
こうした大事件のさなかに、たまたまカトマンズにいた日本のジャーナリストの大刀洗万智が、この事件を日本の雑誌の記事にするため真相を負います。ここまで読んで、スケールも大きく、どんな結末があるかを期待したのですが、若干その期待は裏切られました。
大刀洗が事件の現場にいたと思われる国軍の兵士に話を聞くべき工作し、何とか場面設定するのですが、兵士から真実を聞くことはできずじまい。そして、その兵士が何者かに殺されたことから、国軍を巻き込んだ危険かと思いきや、実は事件はそんな大それたものではなかった・・・・・。
この作品は、週刊文春の2015年ミステリーベストテン第一位、同じく「このミス」第一位など、評判はすこぶるいいのですが、私としては「満願」ほどのインパクトはありませんでした。
今日はこの辺で。