映画四題

先週土曜日から見た映画四題の紹介。
土曜日はギンレイホールにて日本映画「シャボン玉」と「愚行録」鑑賞。いずれも地味な映画ですが評価が分かれる作品。
「シャボン玉」は、犯罪を犯した半ば不良少年が、山奥の集落の親切な人たちとの交流の中で、本来の正直な人間性を取り戻していく再生の作品。市原悦子の扮する老婆が少年を変えていく過程を優しく見つめる。この映画には救いがありました。
一方の「愚行録」は、貫井徳郎の小説の映画化で、妻夫木聡満島ひかりのほか、先だって問題を起こした小出恵介が出演するなど、キャスト的には派手な陣容をそろえていますが、小説同様救いのない内容。
小出恵介は、どちらかというと正義感のある役も多かったのですが、今回の未成年者暴行事件を予見するような少し不良っぽい役で出演。とにかくわかりにくい映画で、「シャボン玉」に軍配をあげました。
本日はユーロスペースにてインド映画「裁き」鑑賞。私はてっきり理不尽に逮捕された老歌手の無罪を主張する弁護士中心の裁判ものと思いきや、内容は全く別物。インド社会に根強く残るカースト差別と貧富の格差、裁判の不条理など、現在のインドの世相を映し出したドキュメンタリーのような作品でした。従って、映画の焦点が裁判にあるわけでもなく、緊張感のない作品。インド映画というと、必ず楽しい歌と踊りが出てきますが、この映画に出てくるのは、歌と言ってもインド社会の現状を皮肉った歌を歌う老歌手の歌ばかり。不思議な作品でした。
最後に紹介するのは、武蔵野館で鑑賞したフランス映画「夜明けの祈り」。第二次大戦が終了したものの、混乱の残るポーランドが舞台。ポーランドはドイツやソ連など大国に徹底的にいじめられた国ですが、やがて東西冷戦の東側に位置してしまう、つまりはソ連支配下となる国の物語。戦争中はドイツが悪者ですが、戦後はソ連ポーランドにとっての悪者。
ポーランドの尼僧院を襲ったソ連兵に強姦されて、子供をはらんでしまった尼僧が7名。この事実を表ざたにできない院長とフランス人女性医師の葛藤を中心に描く骨のある映画。事実に基づく作品ということですが、とにかくソ連兵が徹底的に悪く描かれていました。
現在韓国で大ヒットしているという長崎の軍艦島をテーマにした映画でも、日本人を徹底的に悪く描いているようですが、実際の敵視にの真実はどこにあるのか?慰安婦問題を含めて難しい問題ではあります。
今日かこの辺で。