ドキュメンタリー映画「光のノスタルジア」「セバスチャン・サルガド、地球へのラブレター」

本日はギンレイホーにて、ごきゅめんたり―映画二題鑑賞。
「光のノスタルジア」は、チリのアタカマ砂漠を舞台にした文明と人間のドキュメンタリー。アタカマ砂漠は、年間を通して雨がほとんど降らず、乾燥していることから空気が澄み切っていて、天体観測には最高の条件。世界の天文学者が注目する場所で、チリの天文学者もここに望遠鏡基地を設け天体観測にいそしんでいる。これが文明社会の一端であり、もう一方の人間社会の面からは、ピノチェト政権によるクーデターにより、多くの国民が収容所に収容され、虐殺された場所。アカタマ砂漠はそんな二面性を持つ特異な場所であり、ここをドキュメンタリー化した作品である。
ピノチェト政権の誕生は1973年、アジェンダ社会主義政権を嫌った軍部、富裕層がアメリカニクソン政権の援護を受けてクーデターを起こし、軍事独裁政権を樹立。1990年まで続く独裁政権は、多くの左派の人々を収容所に送り虐殺したといわれる。天体望遠鏡の傍らで、そんな虐殺された人々の遺骨を捜す人たちが象徴的に描かれていました。まさの天体の光と地上の影が印象的でした。
セバスチャン・サルガド、地球へのラブレター」は、有名な写真家、サルガドを追い続けたドキュメンタリー。彼は当初は主に紛争地を中心に難民キャンプ等の写真を撮っていたが、あまりにも悲惨な状況から自分の無力感を感じ、地球の自然へと被写体を移していく。その苦悩などが描かれる。私が最も印象に残るのは、映画の冒頭に出てくるブラジルの金鉱山で5万人もの人たちが金を求めて穴の中を上下している写真。すさまじいまでの人間の欲望が描かれる写真。
写真は全て白黒の陰影の深いもので、強烈な表現力を持つものばかりでした。
今日はこの辺で。