原田マハ「楽園のキャンパス」「モダン」

原田マハの美術系小説「楽園のキャンパス」と「モダン」読了。
「楽園のキャンパス」は、アンリ・ルソー作品を巡るアメリカ人キュレーターと日本人女性研究家が、スイスの収集家に呼ばれ、作品の真贋を判定する過程を描く。
美術にはまったく興味も関心もなく、無知識の私ですが、この小説で現代美術について若干ではありますが興味を抱きました。
アンリ・ルソーの名前も聴いたことがある程度で、どんな絵を描くかなどは全く知りませんでしたが、生前はそれほど注目もされず、役人をするかたわら、絵を描いていたこと、画家として独立後も評価されず、すさんだ生活を送っていたことが語られます。その中で、ピカソが彼の理解者であったことが描かれますが、これは真実か否かは不明?ですが、当時のパリの様子がうかがい知れます。
そして、ニューヨーク近代美術館、略称MOMAの偉大さも描かれます。
「モダン」はそのMOMAにまつわる短編小説が5編収録されています。印象に残るのは「ピカソマチス」展の話。抽象画の代表格であるピカソマチスの代表作、「アビニョンの娘たち」と「浴女と亀」。ピカソマチスを一緒に展覧会をしようとしたMOMAのキュレーターたち。それまで門外不出だった「アビニョンの娘たち」を初めてロンドンとパリに貸し出したことなど、おそらくは真実であろうことを知りました。
原田マハはかつて美術館で働いていたことから、美術に関する小説が多いようですが、たまには美術に関心を寄せるのもいいもの。
早速ですが、現在日本橋高島屋で開催中のピカソ展を一昨日の金曜日の夕方、女房と見に行きました。有名な作品はありませんでしたが、ピカソがいかに多くの作品、それは絵画、彫刻、陶器など広範囲にわたりますが、すさまじい創作意欲があったことをしみじみ感じました。
今日はこの辺で。