奥田英朗「ナオミとカナコ」

久々の奥田英朗作品「ナオミとカナコ」を2日間でスピード読了。恥ずかしながら、読む速さは遅く、女房子供にバカにされるのですが、そんな中、2日間で読み上げるのは異例の速さ。その面白さに引き込まれ、夜遅くまで読むことに。
奥田作品のいいところは、ストーリーの面白さはもちろんですが、その読みやすさにあります。難しい言葉はほとんどなく、難しい漢字もありません。そのため、東野作品と同じくすいすいと読めます。
「ナオミとカナコ」の出だしは、「マドンナ」や「ガール」と同じく、OLものかなと思っていましたが、とんでもない、殺人事件でした。「マドンナ」や「ガール」で、女性心理を描くうまさにも定評がありますが、今回も女性の心理をうまく描き、素晴らしい傑作になっていました。
430ページもの長編ですが、前半のマスミ篇は殺人を犯すまでの、ナオミを中心とした描写、カナコ篇はその後の展開をカナコを中心として描写しています。途中には中国人の図太い生活力なども盛り込まれ、勉強にもなりました。
これを読んでいると、本の帯についたキャッチフレーズ、「あなたも共犯者になる」に嘘偽りがなく、二人の勇敢な女性が何とか逃げ切ってくれないかと期待する気持になってしまいます。
女性同士の深い友情とDV夫から逃れるために殺人を犯す二人を、つい応援したくなるのは間違いありません。殺人事件を扱っていますが、暗い描写はなく、からっとした読後感は何とも言えず気持ちがよくなりました。
ネタバレを書いてしまいましたが、奥田作品にまた一遍、傑作が追加されました。映像化も期待したいところです。
今日はこの辺で。