薬丸岳「刑事のまなざし」

「天使のナイフ」で鮮烈にデビューした薬丸岳を久々に読みました。そして、素敵な刑事像に出会いました。主人公は、かつては少年鑑別所の法務技官として、罪を犯した少年のケアをしていたものの、娘をハンマーで殴られ、植物人間にさせられてしまったのをきっかけに刑事に転職した夏目信人。彼は刑事らしくない人間ながら、鋭い視点で犯人を突き止めます。しかし、それは追い込むのではなく、自ら自白させるように導く手法。最初の「オムライス」は残酷な話です。暴力をふるう男でありながら、離れられない女が、その暴力男と自分の息子のどちらを選んだのか?
「黒い履歴」は、バツイチでシングルマザーの姉と暮らす弟が、かつての殺人事件の犯人であることを理由に、なかなか定職につけないものの、姉弟が仲良く暮らす家庭。しかし、そこにまた殺人事件が発生し、弟が疑われることに。そしてさらにはかつて弟が起こした殺人事件にも大きな謎が・・・?
最後の表題作「刑事のまなざし」は、夏目信人の娘がハンマーで殴られた犯人が分かる展開。
最後で夏目が刑事になったきっかけが解明されてしまい、今後も夏目が登場する作品が続くのかどうか?
是非続けて夏目刑事の活躍を読みたいものです。
今日はこの辺で。