イラン映画「別離」

話題のイラン映画「別離」鑑賞。ベルリン国際映画祭金熊賞などを受賞した評価の高いこの映画が、渋谷の「ル・シネマ」一館でしか上映されていないのも大変残念なこと。
イランというと、30年前のホメイニによるイラン革命イスラム宗教至上主義、最高権力者が聖職者で、一方では核開発を欧米から指弾されていること、そしてイライア戦争など、あまりいいイメージがない国で、一般庶民の生活も何となく抑圧されているような感覚を持ってしまいますが、こういった映画は貴重な情報源となります。
テヘランに住むイラン人夫妻は娘一人と夫の父親との4人暮しながら、妻は外国への移住を希望し、夫はそれを拒否して離婚する覚悟。そうした複雑な家族関係の中で、人間の複雑な心理と共に社会問題をも浮き彫りにする。
この映画で魅力なのが、妻役のレイラ・ハタミ。どちらかというと、ヨーロッパのラテン系の血が入ったような美人。夫役のペイマン・モアディもひげをそったら欧米人と変わらない風貌。いずれも魅力的な俳優さんでした。
物語は波乱含みの様相にさらなる秘密とうそが絡み合い、スリリングに転がっていく展開ですが、それを淡々と描きます。
宗教性の強さは終盤の「コーランに手をついて誓えるか」の場面。
ともかくも、私が想像したイラン人の生活以上に欧米化している生活様式が垣間見えて、参考にもなり、作品自体も素晴らしい出来でした。
今日はこの辺で。