藤沢周平「海鳴り」

藤沢周平の商人者の長編「海鳴り」読了。
藤沢には珍しい男女の不倫をベースにした商人もの。45歳を過ぎて、そろそろ老境に差し掛かりつつある紙問屋の主人を主人公に、ふとしたことから人助けをして、その人妻と中年の恋を展開するという、現代的に言えば不倫もの。渡辺淳一的なきわどい場面も出てくるという、藤沢らしからぬ小説?作家たるべき者、このくらいの色物も書かなくては読者もつまらないことではあります。
ここで描かれる商人の世界は、現代に置き換えてもそっくりそっくり当てはまる内容。江戸の商人はこうして大きくなり、そしてその権益を賄賂などの行為で守ってきたことが生々しく、しかも自然に描かれるところが面白く読ませました。
最後はハッピーエンドで物足りなさが残りましたが。
今日はこの辺で。