ギリシャの財政問題から端を発したヨーロッパ危機は、イタリアのIMF管理へと進み、底知れないユーロ圏内の経済危機を予言させます。同一通貨を流通させながら、政治は全く異なり、極めて不完全な統一体制でしたが、それが図らずも露見したことから、大変な騒ぎになっています。日本は大震災があったものの、ヨーロッパ危機からは若干遠い位置にいて、おかげで円高というありがたくない影響を多分に受けており、経済のグローバル化を実感させます。
さて、そのイタリアの政府債務はGDPの120%です。借金の大半が国債で、その国債をヨーロッパ各国の銀行が保有しており、大騒ぎになっているわけですが、債務残高からすれば日本がダントツのGDP比200%を超えています。エコノミストと称してマスコミに登場する評論家が、日本の借金はそんな大きな問題ではない、などと堂々とのたまう場面がありますが、どこが大変ではないのか?
日本はこの20年間、ほとんどGDPが増えていません。どちらかといえばデフレで、通貨価値が上がっていますが、そんな状況でGDPの2倍の借金を政府が返せるのか?恐らく誰も返せるとは思っていないでしょう。一時プライマリーバランスを0にするなどという目標を掲げた内閣がありましたが、最近はそんな言葉も一向に聞かれません。予算の半分以上を国債で賄い、いくら低金利とはいっても国債費の支払いも馬鹿になりません。何かヨーロッパの出来事を対岸の火事として捉えている空気がありますが、政府債務問題こそ日本の最大のリスクにほかなりません。
日本がいずれ債務危機を迎えることは目に見えています。そんなときに助けてくれる国があるでしょうか。アメリカはもちろん、中国も助ける訳がありません。景気回復のために国債を何のためらいもなく発行し、選挙に負けることを恐れて誰も増税に手を付けてこなかったつけが、ジャパンクライシスとして発生させるはずです。分岐点は、個人資産が1,400兆円あるという事実を信じればあと400兆円です。今のままでは5年ぐらいでその水準に達してしまいそうな勢い。
こんな危険な状況で飛び出したのがオリンパスの債務先送り、隠ぺい問題。この問題は一企業の不祥事にとどまらず、オールジャパンの企業の不透明さを増幅させるでしょう。日本の企業は信じられない。日本の財務諸表には隠れ負債がある等々、誰でも簡単にそう考えてしまうようなインパクトがあります。それを暴いたのがイギリス人社長というからより一層の真実味があります。
昨日のオリンパス高山社長の記者会見は、同情したくなるほどのさみしさ。今までは数人で記者会見したのに、昨日はたった一人で奮闘していました。高山社長は長岡高専卒業のたたき上げで社長にまで登りつめましたが、平時であれば専務どまりだったでしょう。したがって、会見の通り「昨晩初めて聞かされた」という言葉は本当かも知れません。経歴からいって本当に知らなかった可能性があります。
かつて山一証券が破たんした時、営業畑の野沢社長が突然社長になり、最後の社長となったことを思い出しました。エリートが経営中枢を占めていた山一証券では確かに異例でした。そして、損失補てんについて何も知らなかったのも事実でした。高山社長に同情するわけではありませんが、社長、会長など、トップにものを言えない体質はどこにもあります。高山社長の経歴からして、よほど実力があったか、あるいは実力者の目に留まって引き上げられたかのどちらかでしょうが、後者の場合は間違いなくその人に感謝こそしろ、逆らうことは至難の業でしょう。
話はそれましたが、オリンパスの事件がまさにオリンパスだけの問題で済むことを祈るばかりです。これが他社にも波及すれば日本株は更に値を下げ、信頼を失い、ジャパンクライシスは明日にも始まるかも知れません。
今日はこの辺で。
さて、そのイタリアの政府債務はGDPの120%です。借金の大半が国債で、その国債をヨーロッパ各国の銀行が保有しており、大騒ぎになっているわけですが、債務残高からすれば日本がダントツのGDP比200%を超えています。エコノミストと称してマスコミに登場する評論家が、日本の借金はそんな大きな問題ではない、などと堂々とのたまう場面がありますが、どこが大変ではないのか?
日本はこの20年間、ほとんどGDPが増えていません。どちらかといえばデフレで、通貨価値が上がっていますが、そんな状況でGDPの2倍の借金を政府が返せるのか?恐らく誰も返せるとは思っていないでしょう。一時プライマリーバランスを0にするなどという目標を掲げた内閣がありましたが、最近はそんな言葉も一向に聞かれません。予算の半分以上を国債で賄い、いくら低金利とはいっても国債費の支払いも馬鹿になりません。何かヨーロッパの出来事を対岸の火事として捉えている空気がありますが、政府債務問題こそ日本の最大のリスクにほかなりません。
日本がいずれ債務危機を迎えることは目に見えています。そんなときに助けてくれる国があるでしょうか。アメリカはもちろん、中国も助ける訳がありません。景気回復のために国債を何のためらいもなく発行し、選挙に負けることを恐れて誰も増税に手を付けてこなかったつけが、ジャパンクライシスとして発生させるはずです。分岐点は、個人資産が1,400兆円あるという事実を信じればあと400兆円です。今のままでは5年ぐらいでその水準に達してしまいそうな勢い。
こんな危険な状況で飛び出したのがオリンパスの債務先送り、隠ぺい問題。この問題は一企業の不祥事にとどまらず、オールジャパンの企業の不透明さを増幅させるでしょう。日本の企業は信じられない。日本の財務諸表には隠れ負債がある等々、誰でも簡単にそう考えてしまうようなインパクトがあります。それを暴いたのがイギリス人社長というからより一層の真実味があります。
昨日のオリンパス高山社長の記者会見は、同情したくなるほどのさみしさ。今までは数人で記者会見したのに、昨日はたった一人で奮闘していました。高山社長は長岡高専卒業のたたき上げで社長にまで登りつめましたが、平時であれば専務どまりだったでしょう。したがって、会見の通り「昨晩初めて聞かされた」という言葉は本当かも知れません。経歴からいって本当に知らなかった可能性があります。
かつて山一証券が破たんした時、営業畑の野沢社長が突然社長になり、最後の社長となったことを思い出しました。エリートが経営中枢を占めていた山一証券では確かに異例でした。そして、損失補てんについて何も知らなかったのも事実でした。高山社長に同情するわけではありませんが、社長、会長など、トップにものを言えない体質はどこにもあります。高山社長の経歴からして、よほど実力があったか、あるいは実力者の目に留まって引き上げられたかのどちらかでしょうが、後者の場合は間違いなくその人に感謝こそしろ、逆らうことは至難の業でしょう。
話はそれましたが、オリンパスの事件がまさにオリンパスだけの問題で済むことを祈るばかりです。これが他社にも波及すれば日本株は更に値を下げ、信頼を失い、ジャパンクライシスは明日にも始まるかも知れません。
今日はこの辺で。