藤沢周平「闇の穴」

チリの鉱山の落盤事故から約2ヶ月。生存していた33名の救出作戦もようやく終幕へ。本日から救出が始まり、明日中には全員が地上に出てこられそうです。何はともあれ、めでたしめでたし。
さて、藤沢周平の短編集「闇の穴」読了。表題作ほか5編を収録。この中で特に印象に残るのが「木綿触れ」。
藩の厳しい財政から、下級武士以下の人間は木綿の衣服しか身に着けてはならぬというお触れ、すなわち「木綿触れ」のお達しがある。そのお触れが出る前に、妻に着せてあげたいがために反物を買い、妻は眠れるのも忘れて着物を作って完成させたものの、お触れのため着ることが出来なくなる。
しかし、妻の実家の法事に出かける際に、せめてそれを持たせて送り出したことが仇に。
なんとも切ない物語であり、映像化できないものかと、素人ながら期待してしまいました。
その意味でも、この作品が6篇の中でも秀逸でした。
今日はこの辺で。