重松清「希望が丘の人々」

重松清の長編作「希望が丘の人々」読了。500ページ、しかも2段組の長編。しかしながら、さすがは重松。長さを感じさせない楽しさでした。
妻が中学3年生と小学校5年生の息子を残して他界。お父さんは妻の分まで子供とのつながりを深めようと、脱サラして妻の生まれ故郷の希望が丘に引越し、そこで学習塾を開業。その希望が丘で出会う人々との心温まる話が語られます。出てくる人々が、あまりにも型破りというか、極端というか、ありえないようなところもありますが、それでも魅力あふれる個性が発揮されます。
最高は亡き妻の同級生でもある「エーちゃん」。破天荒な英雄像が描き出されます。主人公のお父さんはすっかり脇役になってしまいました。エーちゃんの魅力で小説全体が構成されているだけといえば言えますが、それでも家族の絆を描いては右に出るものがいない重松清でした。
今日はこの辺で。