あらためて清張を味わう

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この連休中は、宮部みゆき責任編集「松本清張傑作短篇コレクション」上・中・下三冊を読む。
芥川賞受賞作「ある小倉日記伝」から始まり、「一年半待て」、「地方紙を買う女」、「真贋の森」、「書道教室」、「共犯者」、「鴉」、「西郷札」そして「火の記憶」等々、主に清張の初期作品を中心に珠玉の短篇を久しぶりに堪能しました。
昭和30年代ですから、既に半世紀の歳月を経ているにもかかわらず、何ら古さを感じさせない筋立ては、さすが社会派推理作家と呼ぶにふさわしい趣があります。男女の関係、憎悪や嫉妬、出世欲、名誉欲といった人間の業というものが、歴史を経ても根本では何ら変らないことを如実に示しています。
そして、もう一つの清張の顔として深い歴史洞察があります。「日本の黒い霧」は一方の成長の代表作であり、「帝銀事件」、「追放とレッドパージ」では深く歴史の真実を掘り下げています。
まだ読んでいない短篇も数多くあるので、しばらくは清張漬けもいいかもしれません。
今日はこの辺で。