松本清張生誕百年

本題の前に、小路幸也「高く遠く空へ歌ううた」について。久しぶりに何がなんだか分からない小説に出会う。小路幸也は「東京バンドワゴン」など、面白い作品を発表しているのですが、本作品は2作目の作品のようで、作品の意図が全く分からない駄作にしか思えませんでした。死人を何故かたくさん見つけるギーガンを中心に、ミステリー的な話もあるのですが、中途半端。最後に出てくる「違い者」と「解す者」に至って、終にあきれるばかり。貴重な時間を損した気分です。
昨日は、世田谷文学館というところでやっている松本清張展の特別企画、「阿刀田高」講演を聞く。清張はまさしく昭和を代表する巨人作家。単に推理小説ばかりではなく、歴史小説や現代史研究にも造詣が深く、その著作数はおびただしい数に上ります。
阿刀田の講演の中で気になったのは、「点と線」と「砂の器」を小説としてはあまり評価できないというくだり。実はこの2作品が、最も読まれ、親しまれている作品であるから、これまた皮肉。2作品とも、優れた映画に人気の秘密があるとのことでした。これもまたしかりなのか?最近読んでいないので、もう一度原点に返り、清張作品を読まなければと思った次第です。
今日はこの辺で。