重松清「とんび」読了。「とんび」という表題は、「とんびが鷹を産む」から来たもの。主人公のヤッチャンは運送会社につとめる、飛び切り明るい性格の男。そんなヤッチャンが結婚し、生まれたのがアキラ。しかし、三人の幸せな家族生活は、奥さんの事故死で一瞬損なわれます。でも、周りの人たちの心温まるバックアップもあり、ヤッチャンはアキラを立派に育てていくという筋書き。ストーリー的にはそんなに特筆すべきものはありませんが、重松作品はどこかで何かを訴えます。
私が羨ましく感じたのは、二人を暖かくサポートするたえ子さんや照雲さんの存在。何でも言える、かけがえのない隣人の存在ほど貴重なものはありません。
アキラは立派に最高学府を出て社会人としてスタートしますが、それもみんな父親のヤッチャンだけではなく、周りの人たちのおかげ。こんな人間関係があったらどんなにすばらしいことか。
兎角人間関係が疎遠な都会では無理なんでしょうが。
今日はこの辺で。
