白川道「十二月のひまわり」

白川道「十二月のひまわり」を読了。表題作を含めて5編の短編集。どれも味わいのある作品。白川道の作品自体初めてでしたが、収穫がありました。
「十二月のひまわり」。相楽と伸介は幼馴染だったか、育ちは全く違う二人。そして二人の関係は伸介の妻と娘と相楽の関係をつくり、最後は残酷な事実が。映画「ひまわり」をベースにした悲しいドラマでした。
「切り札」は、兄貴と慕う萩原のためなら何でもやる覚悟の安形。萩原の切り札でもある安形だが、最後に知るのが萩原の素顔。
「淡水魚」。一番気に入った作品。小柴は野望を捨てきれず、同棲していた真希と別れる。何年かして真希の母親が死に、母親の手紙から真希の真のすばらしさを知る小柴。真希の様な女性がこの世にいるのだろうか?天子のような真希に会ってみたい。
「車券師」は競輪車券のプロの話。昔かたぎの男が仕掛けるやな奴への仕返し。
最後の「達也」は弁護士の男が昔付き合っていた女の甥っ子に連れまわされる話。弁護士の恋人は仙台に帰ったものの、その後は音信不通でどんな生活をしたかは分からなかったが、実は悲惨な生活。その甥っ子は、実は弁護士の子供だった?
男と女の過去の愛情と現実をさりげなく描きながら、格好よくもある作品でした。
今日はこの辺で。