重松清「季節風・夏 僕たちにミシシッピ・リバー」

重松清季節風・夏 僕たちにミシシッピ・リバー」読了。表題作をはじめ、全12作の短編集。
どれも味わい深い作品でしたが、特に良かったのが、「あじさい、揺れて」と「ささのは さらさら」。
あじさい揺れて」は、夫を亡くした義姉が再婚するに当たり、亡くなった夫の家族のもとに挨拶に来る話。妻と2歳になる子供を残して事故で死んだ兄。残された妻の再婚をどうやって祝してやればいいのか。とっても思いやりのある作品でした。
「ささのは さらさら」も同じようなシチュエーション。お母さんと二人の子供を残してお父さんが亡くなってしまった家庭。お母さんは働きに出て、やさしい再婚相手が見つかります。その新しいお父さん候補の近藤さんはどんな人なのか?高校1年生の娘にとっては抵抗のある話。でも、ここに出てくる近藤さんの人間性のすばらしいこと。
もう一編、「終わりの後のの始まりの前に」。高校野球の最後の試合。主人公は見逃し三振を喫したが、そのボールはストライクじゃないと確信していた。でも、そのときの審判にあって言われたのは「あれはストライク」。そう、世の中はみんな自分の思いどおりにいくわけじゃない。こんなことを知っただけでもすごい成長。
またまた、重松清の作品に感銘を受けました。
今日はこの辺で。