高野和明「6時間後に君は死ぬ」

最近の読書ペースは二週間に3冊。すべて小説で、すぐに中身を忘れてしまうような読書なので意味がない気もする今日この頃。それにどきどきして読むような小説にも最近出会っていません。
そんな中で高野和明「6時間後に君は死ぬ」を読んで、久しぶりに先をすぐに読みたい感覚を味わいました。山葉圭史という未来を予言できる青年が通して出てくる物語。予知能力なんて現実的ではありませんが、小説としてうまく料理しています。
表題作を含めた5編を収録。
「6時間後に君は死ぬ」は、美緒という女性が圭史に「君は6時間後に死ぬ」と言われ、その未来を覆そうとする話。確かに覆すことができましたが、予知どおりのストーリーが展開するところに工夫があります。
「時の魔法使い」脚本家になりきれないプロットライターの未来。何故か20年前の自分と遭遇してしまいます。その不思議な話の中で、圭史が未来と出会い、未来の「未来」を変えられるといいます。でも、貧乏ではあっても心の優しい今の自分が好きだから・・・。
「恋をしてはいけない日」圭史に「この日に恋をしたら悲しい目にあう」と言われた女子学生の未亜。でもその日に恋をしてしまう未亜。その相手は、実は目の前で発生した交通事故でなくなった青年の心が移った青年だった。心のきれいな人は姿かたちじゃ分からない!!!
ドールハウスのダンサー」私が一番気に入った作品。ダンサーにオーディションになかなか合格しない美帆。ルームメートの年下の女性と何度かオーディションを受け、結局最後はルームメートに先を越されてしまう。そんな未来が分かっていた美帆は、オーディションの直前に捻挫したルームメートを助けるかどうか迷うのですが。やっぱり美帆は助けることに。逆にルームメートはオーディションに受かるノウハウを美帆に教えていなかった。さて、どちらの女性が皆さんは好きですか?
最後は「3時間後に僕は死ぬ」圭史が自分の3時間後の未来を予知してしまった。宴会場から去ればいいのになかなか去ることができない筋書き。はらはらどきどき物の話が続き、最後はその予知が覆される。
なかなか面白い短編集でした。
今日はこの辺で。