新堂冬樹「吐きたいほど愛してる」

昨日・今日と仙台方面に出張。仙台の奥座敷的な秋保温線に宿泊しましたが、シーズンオフの平日で静かな旅館街でした。紅葉も終わり、夕方には雪もちらつき、寒い仙台でありました。
仙台への新幹線やローカル線車中で読んだのが新堂冬樹の「吐きたいほど愛してる」。
かなり代わった人間を題材にした4つの短編集。
「半蔵の黒子」:自分の身の程を全く分かっていない半蔵の狂気の物語。ちょっと常軌を逸しすぎていて、小説としてもあまり読めない作品。
「お鈴が来る」:妻が精神を病んだ原因がこんなところにあった?これも突拍子過ぎないか。
「英吉の部屋」:最初は寝たきり老人に同情したものの、実はこの老人の過去は暴力と虐待の世界。こんな親はコテンパンに苛めてほしい。でもやっぱりおかしな小説。
「まゆかの恋慕」:唯一まともな作品であり、かつ涙を誘う作品。優しい男と悲しい過去をもつ女を何とか一緒にさせてやりたかったなあ。
4篇とも狂気の人間を登場させているが、荒唐無稽すぎる部分が多すぎて、「まゆか・・」だけがお奨めの短編集でした。
今日はこの辺で。