「紙屋悦子の青春」観賞

岩波ホールで上映されていた「紙屋悦子の青春」が、我が地元下高井戸シネマにかかっており、妻と一緒に夫婦50歳割引で見てきました。
冒頭のシーン、病院の屋上らしき場所で老夫婦が何気ない会話をしています。それが主人公夫婦であることはすぐに分かりますが、この映画の場面は、2つしかありません。病院の屋上と、紙屋家。そのほかの場面は全く出てきません。登場人物もたったの5人。他には誰も出てきません。こんな単純な映画ですが、空恐ろしいほどの感銘を残してくれます。これこそが映画なのでしょうか。黒木和男という監督は、残念ながら先日亡くなり、この作品が遺作になってしまったとのことですが、これだけのシチュエーションで、これだけの反戦を訴え、これだけの涙を誘い、そしてこれだけの感銘を与える作品を残すとは。
紙屋悦子を慕う2人の将校とのやり取りは笑いを誘いましたが、将校のうちの一人、明石大尉が別れを告げに来る場面には泣かされました。
紙屋悦子の義理の姉が発した言葉、「戦争に負けてもいい」という言葉が最も現実的で適切な言葉に我々には思うのですが、当時はそんな時代ではなかったのです。
皆さんにも是非見ていただきたい映画でした。
今日はこの辺で。