家族の闇

年も押し迫った12月30日、幡ヶ谷でとんでもない殺人事件が発生しました。裕福な歯科医の次男が妹を殺し、死体を切断して隠そうとした、何とも凄惨で不可解な事件。兄弟は他人の始まりといいますが、殺して、しかも切断するという異常な事件の裏には何があったのでしょうか。
断片的に流れてくる情報によれば、この兄妹は3年間も口をきいたことがないとか、妹が家族からのけものにされていたとか、妹が兄たちに暴力を受けていたとか、3浪している次男がかなり追い込めれていたとか云々。両親の精神状態が今のところ事情聴取に耐えられる状況にないとの情報もあり、事件の全容解明には時間がかかりそうです。
昨年、奈良県でも医者の息子が母親と幼い妹を放火で殺したという事件がありましたが、今回も両親とも歯科医で、何不自由のない生活を送っていた家族に起こった悲劇は、こうした裕福な家族にある深い闇を感じざるを得ません。経済的な満足感と精神的な満足感が必ずしも一致しないことを如実に表している事件です。
今日のNHKクローズアップ現代で、サウジアラビアの労働事情についてのリポートをやっていました。原油高による潤沢なオイルマネーにより、国民には税金もなく、住宅も只で提供される様な環境があります。そんな中で、若者が労働意欲を失い、親もそれを放置してしまうような状況が生まれているとのこと。こんな国の状況がすばらしいといえるでしょうか?汗を流して金を稼ぎ、その金で生活するという基本を忘れた国民には、もはや明日はないでしょう。
国レベルでのことは、家庭でも通じるのではないでしょうか。何浪してでも頑張るのは、それはそれで価値があることかもしれませんが、そんなことが許される家庭は極めて稀です。今年受からなかったら、彼はどうしていたのでしょう。4浪、5浪でもしたのでしょうか。
彼も家庭の犠牲者かもしれません。そして、家族で最もまともだったのは、殺された妹かもしれません。医者になることにしか価値を見出せなかった両親、兄弟への反発が、家族の中で浮き上がってしまったのかもしれません。この家族の深い闇は、この事件によって晴れるのかもしれません。
今日はこの辺で。