「父親たちの星条旗」観賞

硫黄島の戦い2部作の第1作「父親たちの星条旗」を見てきました。映画の出来不出来は別にして、戦争の悲惨さ、勝者敗者関係なく、個人として深い傷を負ってしまう戦争の残酷さを見せてくれました。イーストウッドは「ミリオンダラーベイビー」で人間の尊厳について深く追求してくれましたが、今回は戦争の愚かさ、馬鹿らしさを、むごたらしい戦闘場面を通じて見せてくれています。
それにしても、私自身太平洋戦争についてあまりにも無知なことに自己嫌悪を感じてしまいました、真珠湾攻撃から始まり(実際にはその前に中国大陸侵攻があったが)、インドシナ侵攻までは日本が優勢だったものの、ミッドウェー海戦から劣勢となり、その後ガナルカナルで決定的な敗北を喫し、悲惨なレイテ島の戦い硫黄島の戦いがあったことを何となく知っていた程度です。しかし、そのそれぞれの戦いでどんな被害があったのか、その戦いの意味はなんだったのかなど、肝心なことは全く無知だったのです。
今高校の履修課目漏れが問題になっていますが、世界史、日本史とも近現代史が全くの空白地帯で、学校教育で太平洋戦争を詳しく教わることが抜け落ちています。興味のないまま大人になり、中年になっても無知のままでいるケースが多いのではないでしょうか。
ちなみに硫黄島では日本兵2万人強、アメリカ兵6,800人強が戦死しました。日本兵はほぼ全滅、アメリカ兵も2万人強の負傷者が出ています。たった1ヶ月間の戦闘でこれだけの尊い命が失われてしまったのです。
映画では、硫黄島星条旗を掲げた3人が帰国してアメリカ国債購買キャンペーンに借り出されるストーリーになっています。圧倒的な国力を誇っていたアメリカでも、戦費調達に苦労していたことも教えてくれました。そして最も印象的なのは、勝ったアメリカの個々の兵士も、決してその後幸せな人生ではないと言うことです。戦争は決して個々の兵士や個々の市民を幸せにすることはないのです。そうした戦争の無意味さを我々はもっと深く考え、平和を守るために頑張っていかなければならないでしょう。
硫黄島の戦いは昭和20年3月ですが、この5ヵ月後には広島、長崎の原爆で、一般市民が数十万単位で死傷するのです。
北朝鮮問題はありますが、これを契機に核保有を議論すべきだ、などといった発言が出ること事態、戦争の悲惨さを知らない証拠です。みんな戦後世代の人間が言っているのです。困ったものです。
今日はこの辺で。