朱川湊人「かたみ歌」読了

直木賞作家朱川湊人の「かたみ歌」を読みました。彼の直木賞受賞作「花まんま」を先日読んだばかりですが、この作品も「花まんま」系列に属する作品です。「花・・・」は大阪の下町が舞台でしたが、こちらは東京の下町、それも都電が走っていて、長いアーケードがある街ということで、だいたい想像のつく町です。この古い町の、古本屋とレコード屋、そして古いお寺を舞台に、この町に住む人たちの奇妙な体験が語られます。朱川さんの作品が「花まんま」的な奇談話になりがちなのが気になりますが、それほどは奇異に感じさせないところは彼の力量です。ただ、これが全てに通用するかというとそうではないでしょう。これから彼がどんな作品を作っていくかが楽しみではあります。
「かたみ歌」の最後に古本屋「幸子」が謎解きされますが、なんとも優しいエンディングです。朱川さんにはこれからも大いに期待したいと思います。
今日はこの辺で。