奥田英朗「ガール」読了

奥田英朗「ガール」を読みました。彼の作品「マドンナ」と同系作品ですが、「マドンナ」に負けず劣らず楽しい作品でした。現代女性の生活と心の生き様を、まるで女性作家のように描ききる奥田さんの才能に脱帽します。表題作を含めて、5編ともいわゆる大企業の30代女性独身総合職OLを主人公に、明るく、さらっとした筆致で書いているので、いわゆる女性のどろどろとした人間関係は感じられず、男性が読んでも極めて快いというか、羨ましいというか、そんな気分がします。我々中年男性から見れば、何故こんなに仕事も出来て、容姿も美しい女性が一人でいるのか不思議なくらいで、ほっとく男がいるのかなあ、と不思議に思うくらいです。そうなんで、やっぱりこの小説のお話は、男の作家にしかかけないのかもしれません。私は大企業も知らないし、女性が男に混じって、負けじと働いているような企業も知らないので実感がわかないのですが、こうした企業と女性OLがいるとすれば、さぞや楽しい?職場なんでしょう?
奥田さんの小説は、「空中ブランコ」と「インザプール」、「最悪」と「邪魔」、「マドンナ」と「ガール」など、同系の小説がありますが、その他の作品も含めて、暗い題材(特に「最悪」と「邪魔」)を扱っていても、芯は暗くはありません。何かユーモアがあり、笑わせます。それが彼の作品の良いところなのでしょう。今後も目を話せない作家の一人です。
今日はこの辺で。