エレベーターの事故に思う

東京港区のマンションのエレベーターが故障し、乗っていた青年が床と天井に挟まれ死亡するという事故が発生しました。我々は、「エレベーターは扉が閉まってから動き出す」という常識を頭にインプットしていますが、これが実行されなかったのです。乗っていた青年はさぞ驚いたことでしょう。まさか降りようとしているときに動き出すとは。運が悪いことに自転車をエレベータに載せていたとのこと。自転車が邪魔に避け切れなかったのでしょう。
この事故では、今のところメーカのシンドラー社が槍玉に上がっています。ここぞとばかりに同社製のエレベータの不具合が全国各地から報道され、まるで欠陥メーカーのようです。そして、次第に矛先がメンテナンス会社にも向けられ始めています。いわゆる独立系のエレベータメンテナンス会社です。
まず、現在のシンドラー社への非難ですが、初期対応の悪さなどから当然非難され てしかるべきですが、報道は同社製の不具合ばかりを報告しています。日本での同社製エレベータの市場占有率は1%程度ですが、次から次へと不具合が報道されています。但し、ここで我々が考えなければならないのは、他のメーカーのエレベーターには故障や不具合は皆無なのか?ということです。私にはそうとは思いません。マスコミは他のメーカーの不具合を取り上げるとメーカーに訴えられかねない、との思いもあるのでしょうが、他のメーカでも故障があることは報道すべきでしょう。その上で、シンドラー社製が極端に故障が多いと報じれば納得性があるでしょう。
もう一つ、独立系のエレベーター会社のメンテナンス上の問題です。エレベータ業界は今まで新設エレベータの儲けは度外視してメンテナンスで稼いできました。ところが独立系の出現でメンテナンス契約が脅かされ、稼ぎの源泉を失いつつあります。メーカは折角赤字覚悟で納入したのに、メンテナンスを独立系にとられては元も子もないので、技術データを提供せず、部品お提供もしない状況になっているとのこと。これではエレベータへの信頼度は急速に下がります。
日本が誇ってきた安全神話がだんだん崩れてきているのでしょうか。
今日はこの辺で。