久しぶりの浅田次郎

久しぶりに浅田次郎の小説を2冊読了。1冊は「草原からの使者」、もう1冊は「憑神」。
「草原・・・」は、「沙高楼綺譚」の続編短編集ですが、アマゾンの読者書評を読むと浅田次郎にしては面白くないとの意見が多かったので、つまらないかと思いましたが、そんなに期待を裏切るほどではありませんでした。特に表題作「草原からの使者」は競馬好の私にはハイセイコータケホープ時代が懐かしく、楽しめました。ただ、最後の「星条旗よ永遠なれ」は確かに浅田次郎にしては駄作ではありましたが。
憑神」は幕末の貧乏武士のお話。数学者藤原正彦が「国家の品格」で武士道を称えていますが、その武士道について主人公の彦四郎が悩むお話。徳川250年の平安の礎を築いた徳川家康以下の将軍家に使える下級武士の古い考えと新しい時代の波との葛藤を、憑神という非現実的な媒介を通して描いているのですが、これもかつての「壬生義士伝」あたりと比べると訴えるところがない小説でした。
浅田次郎で私が一番好きなのが「天切松闇語り」で、そのほかにも珠玉の作品ばかりですが、最近の作品ではあまり感動作に出会っていません。ぜひとも彼のすばらしい感性を発揮して、感動作を我々に提供してほしいと思います。
今日はこの辺で。