最高裁の権威

昨日、山口県光市の母子殺人・強姦事件の最高裁での裁判があったにもかかわらず、被告側弁護人が日弁連主催の裁判員セミナー出席を理由に裁判を欠席し、審理が延期になったという事態がありました。この事件は、18歳の少年による凶悪事件として注目を集め、若い夫(お父さん)が極刑を求めて最高裁まで上告した事件です。かわいい妻と子供を一度に失った彼にとって、正に自分で復讐してもし足りない憎い犯人に違いありません。世間には確かに少年犯罪に対して甘い考え、すなわち更正の可能性のある人間、それも犯行時未成年の少年に対して極刑は重過ぎるという意見もあります。また、死刑廃止論者もおります。ですが、被害者の家族からすれば殺しても殺しきれないほど憎い犯人を、法の下でしか殺せない中で、上告までしたことの重みがあるでしょう。こんな重要な裁判を研修を理由として欠席する弁護士に対して、最高裁はただ手をこまねいているのでしょうか。
私はよく東京地裁の傍聴に行くことがあります。高裁も同一建物なので覗いたことがあります。しかし、最高裁はその重厚な建物に威圧されているようで、近くへ行っても中に入ったことはありません。正に権威の象徴のような威容を誇っている最高裁が侮辱されたのです。
ちょうど今、土曜の10:00からNHKで真保裕一の「繋がれた明日」が放送されています。これも非常に重いテーマのドラマですが、このドラマの中の青年はもともとが悪人ではありません。しかし、18歳で既に更正が難しい少年はいるのです。光市の事件の少年は残念ながらその一人であり、極刑でしか罪を償えないと私は思います。
最高裁にはその建物の威厳を失わないような処置と、判決を期待したい。
今日はこの辺で。