誉田氏の姫川玲子シリーズの短編集「オムニバス」読了。
姫川玲子は警視庁刑事一課の女性敏腕刑事。彼女が事件を冠と証拠に基づき解決する短編6篇を収録した推理小説で、同僚や先輩、後輩刑事がそれぞれその推理力に感嘆する。
- それが嫌なら無人島:葛飾署管内で21歳の女性が絞殺された事件。先輩にあたる勝俣健作刑事に頼まれ容疑者を取調。容疑者の大村は殺しについては否定し、それを信じた姫川は別の犯人を見事探し当てる。
- 六法全書:いつも六法全書を開いていて、同僚たちと弦がない中松刑事。そんな中末と奥多摩で発生した死体遺棄事件のため派遣される。男が首を吊り、床下に年老いた女性が埋められていた事件。女性は首を吊った男の母親だったが、再婚していた。しかし、たびたび再婚相手と男のところに来ていたが、事件の日は夫婦が帰りに交通事故にあい亡くなり、金に困っていた男が母親の財産を得るために母親の死体を家に持ち帰っていた事実が判明。男は「同時死亡の推定」で財産を得ることができないことを知り、悲観して自殺したことを見破る。
- 正しいストーカー殺人:岐阜の片田舎に住む28歳の男が多摩地区に住む37歳の女性をストーカー殺人した疑いで逮捕され、取り調べを姫川が担当。女性は遺品整理の会社に勤務していたことがあり、男の祖母の遺品整理もしていたことが分かる。男は祖母がかなりのお金を貯めこんでいたことを知っており、それを女性が獲ったのではないかと迫っていた。女性は暴力男から逃げるために82万円をとったことを認めたが、逃げるための資金に使ってしまっていた。しかし、男はそれを信じずに襲ってきたことからスタンガンで撃ち、転落したことを突き止める。
- 赤い靴:日野利美は55歳のベテラン女性刑事ながら姫川より階級が下。23歳のケイコと名乗る女性が男を殺したと自首した事件を姫川の助手として担当。女性は体に虐待のあとがあり、殺された男と同棲していた。この二人には同志的関係があり、男が小説を書くのを女性は応援していた。しかし男はまともな小説はケイコを主人公にした作品しかなく、行き詰っていたための自殺であったが、自首した女は自分のせいで死んだと思い自首してきたのだった。
- 青い腕:赤い靴の続編。ケイコの話から、ケイコが親を殺したのではないかとの疑いがあり、ケイコ周辺の関係者の聞き込みを行い、かつて神奈川であった未解決事件が浮かび上がり、幼い弟が親に虐待を受け殺されたことから、ケイコが衝動的に親を殺していたことが分かるのだった。ケイコは仲が良かった前作で自殺した従姉のところに逃げ込んで匿われていたことも判明した。
- 根腐れ:有名女優・モデルが覚せい剤所持で自主。姫川が取り調べを担当。女優から覚せい剤の反応はなく、購入経路も不明。姫川はその女優の家族関係を探り、女優がたった一人の妹を庇うために自首してきたことを見抜く。
- それって読唇術:ね付されの後日談で、姫川が読唇術を使っていたというお話。
姫川玲子警部補という魅力的な刑事を誉田さんが作り上げましたが、その原点でもある「ストロベリーナイト」を読んでいないので、近いうちに読もう。
今日はこの辺で。